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2014年8月19日

Rake×気仙沼観光コンベンション協会 会長
「復興へ向けて“復旧”段階の今、音楽が心を癒す」


 

Rake 氏(以下、Rake):
僕は宮城県仙台市太白区生まれで、ずっと仙台・宮城で暮らしながら音楽活動をしてきました。3年前の震災で、当時出演を予定していたイベントなどが一時中止になったりもしましたが、宮城県の皆さんに応援いただいたおかげで、またこうして歌うことができています。震災後、日本全国でライブをしていますが、宮城県出身・在住の僕に、いまの宮城県、東北の様子をたずねる方や、宮城県、東北のために何かできることはないかと申し出てくれる方が多くいらっしゃいました。
3年半経った今、僕のような存在が、ここ宮城県から発信して盛り上げていくべきと思っていて、宮城県内の沿岸部にある市町を中心に無料ライブを企画して、今年4月から各地へ足を運ばせていただいています。今日は、9月に開催する気仙沼でのライブの事前訪問として、市内の中学校などへお邪魔しました。学校は夏休みの期間なので、部活で学校に来ていた生徒さん達に集まっていただいてミニライブをしたんですが、気仙沼の“今”を感じることができました。
 
気仙沼観光コンベンション協会 会長 加藤 宣夫 氏(以下、加藤会長):
Rakeさんも各被災地でいろいろな方々とお会いしてきたと思いますが、被災者の皆さん、それぞれ一人ひとりにさまざまな想いがあると思います。
震災後すぐは、避難所での生活を強いられ、それが徐々に仮設住宅へ移り、表面的には元の生活に近い環境を取り戻すことができているかもしれません。しかし、ご存知のとおり、気仙沼でも多くの方が亡くなりました。家族をはじめ大切な人を失った心の穴は、まだ埋めきれていないのが現状と思います。
私たちは、市民の皆さんのそうした心に開いた穴をどのように繕っていくべきか、日々悩んでいます。その一番の助けとなるのが、心を癒すような何か、Rakeさんのやっている音楽のようなものになるんじゃないかと思いますね。市内にある各復興商店街でも、小さなスペースで音楽イベントを開催したりすると、皆さん集まってきて音楽に耳を傾けています。生活に直結するような支援は国や自治体が進めるものだと思いますが、心の救済には、音楽をはじめとした文化的なものが光を差してくれるのではないでしょうか。そういう意味でも、Rakeさんは観光親善大使としてふさわしいと思います。
 
Rake:
音楽って、ある意味、とてもシンプルでダイレクトに伝わるものです。特に今日は、仮設住宅の一角という非常に小さなスペースで、皆さんととても近い距離で音楽を届けることができたのですが、その場に3歳の女の子もいましたし、八十代、九十代の方もいらっしゃいました。年代関係なく一緒になって聴ける音楽の力を、改めて信じて歌っていきたいと思う日々です。

 
加藤会長:
音楽を聴くと涙がこぼれたりすることがあります。言葉だけじゃ伝わらないものも、音楽を通すと伝わったりしますものね。音楽が聴こえると、人々が足を止めて集まってくるということが自然なんですよね。Rakeさんはじめ、ミュージシャンの皆さんは、やはり感性が優れているんだと思います。
被災地は、復興へ向けて、現在「復旧」の段階にあります。まだ途中段階なので、いろいろな問題があちこちで起きている。その中で、疲れを癒してくれる音楽に期待しているところが大きいと思います。
 
Rake:
今年4月からの無料ライブは、集まってくださる方の半数くらいは僕のことを知らなかったりすると思うんですけれど、それでも音楽が始まると、皆さん真剣に聴き入ってくださるんですね。ステージからそうした皆さんの姿を見ていると、もしかしたら音楽を通して失った大切な人や景色を思い浮かべているのかなという感じがします。普段堪えていることを解放して、音楽を聴いている間だけでもその世界に浸っていただくことが、自分ができることなのかと思っています。
 
加藤会長:
ところでRakeさんのお名前の意味は?
 
Rake:
「熊手」という意味の英語です。野球をやっている方であれば、グラウンドをならすレーキをご存知と思いますが、それが“rake”です。土地を耕すというイメージから、音楽で人との出会いを耕したり、音楽を聴いていただいたときに人の心を音楽で耕して豊かにすることができたりしたらいいなという想いを込めて、Rakeとしました。本名はもちろん、普通の日本語の名前があります(笑)。

  
東北運輸局観光地域振興課 長澤 秀博 氏(以下、長澤専門官):
私たちは国という立場で、できることというのは本当に限られているのですけれど、Rakeさんの今回の活動で、多くの人に音楽を届けている姿に、とても助けられています。
 
加藤会長:
仙台圏から車で約3時間かかる気仙沼は、音楽をはじめとした文化的な情報が枯渇しています。大きなホールもあまりありませんしね。そうした気仙沼の皆さんに音楽をプレゼントいただけるのは、本当にうれしい限り。今回に限らず、また機会があれば、ぜひ気仙沼へ音楽を届けていただきたいですね。どうぞよろしくお願いいたします。
 
長澤専門官:
Rakeさんには全国各地へ気仙沼をはじめとした東北の魅力を発信していただきたいと考えているんですよ。加藤会長、気仙沼の魅力やおすすめをRakeさんにぜひ教えてください。


加藤会長:
東北の中心地である仙台圏から離れている分、昔ながらの自然の景観が豊かなまま残っているというのが、気仙沼の魅力の一つですね。海もきれいで、日本快水浴場100選に選ばれるような風光明媚な海水浴場も多くあります。震災で一時的に閉鎖していましたが、現在は徐々に復活しています。あとは、5~6月にツツジが見頃を迎える徳仙丈山も素晴らしいですよ。
それから、気仙沼はカツオの水揚量が日本一で、鮮度のよいカツオを召し上がっていただけます。また、漁師の保存食になるんですが、刺身にして残ったカツオをすり鉢ですって、そこに味噌を入れてストーブで燻製にしたものもおいしいですよ。海のハンバーグですね。
世界的に有名なフカヒレもおすすめです。
 
Rake:
気仙沼には、おいしいものがたくさんあるんですね。(観光パンフレットを見ながら)僕はこの「あざら」というものが気になっているんですけれど、2~3月の限定料理なんですね。
 
加藤会長:
寒い時期の食べ物なんですよ。白菜と酒粕、そこに目抜けのアラを入れ、何時間も煮込むんです。
 
Rake:
コワダというのは?
 
加藤会長:
マンボウの肝臓で、船料理、いわゆる漁師料理ですね。船の炊事場やストーブで作るんですよ。
 
Rake:
この間、モウカノホシを食べたら、とてもおいしくて! 鮮度の関係で、仙台ではなかなか食べられない。やっぱり気仙沼で食べるのがおいしいですよね。
気仙沼でしか食べられないとなると、何とかして気仙沼に食べに行こうという人が増えると思うんですよね。そういったものが多くの人に伝わって、気仙沼の観光も盛り上がっていくといいな。

 

 
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